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見慣れたアンティークのようですが、新品ですのでピカピカです。

トーネットは世界で初めて、1つの椅子を6つのパーツに分解できる“ノックダウン方式”を開発。
椅子を部材に分けてそれぞれ製作し、それを組み立てると言う新しいモデルを考案しました。

当時のオリジナルの「ダウムの椅子」、特にセティはまず見ることはできませんが、
記録写真等を見る限り、ほぼ当時のままのプロポーションだと思います。

デザインのベースは、当時のヨーロッパで台頭し始めたブルジョアジーが好んだ“ビーダーマイヤー”様式。
曲線的でボリューム感のある、簡素なスタイルが特徴でした。まさに生粋の、民衆のための量産モデルですね。

すばらしい造形美です。
これがミヒャエル・トーネットの追及した曲げ木の「美学」だったのでしょうか?

息を呑むほどに美しい曲線です。

初期のダウムチェアは前脚以外、成形合板だったようですが、後に全て無垢材の曲げ木に変わっています。
もちろんこちらも曲げ木です。

1846年に製作された、記念すべき“No.1”から採用されている「籐(ケイン)」の座面になります。
軽くて、丈夫で、強い座面ですが、良質の籐が少なくなりコストもかかるので最近ではあまり見かけなくなりました・・。

ヨーロッパでも定番の唐草模様がモチーフになっています。
ヨーロピアン・ビーチの木目が心和ませます。

補助笠木もアームレストももやはり昔からのスクリュービスで留められている構造です。
ちなみに、スクリュービスがプラス+なのが現代品の証です。アンティークは全てマイナス−ですからね。

アームレスト先端は薄く研ぎ澄まされています。
おそらくこの部分の仕上げは手作業だと思います。

アームが座と背をつなぐ補強材(サイドプレス)の役割を果たしています。

“ビーダーマイヤー”様式をイメージさせる、先細りの前脚です。

芸術的、と言っても過言ではないアームレストのカーブです。

ケインシートは「かごめ編み」と呼ばれる方法で編み上げられています。
「かごめ編み」は縦、横、斜めに2本ずつ、計6本の籐ひもを上下に、ジグザグにくぐらせながら編み上げます。
また、フレーム同様、アンティーク仕上げの塗装がなされています。

後ろ脚の接合部。極めてシンプルです。
座枠ももちろん無垢の曲げ木です。

隅木はビス留めのようですがで強固に固定されています。

アンティークと違ってとてもキレイです。(笑)
座枠のエッジが丸められているところはアンティークでは見られませんね。近代設備の導入効果でしょうか?

独トーネット社の現行“No.14”(♯214)は、あらかじめ作っておいた機械編みの座面を、後から座枠にはめ込む方式ですが、
こちらの“No.4”セティは座枠に直接、籐ひもを打ち込んでいます。
・・手間のかかる、昔ながらの作業ですが、手編みならではの趣きがありますね。

脚の付け根に装飾されている“リング&ボウル”が当時まだ様式家具が主流だったことを思い起こさせます。

1人がけのアームレスタイプにはサイドプレス(座と背とつなぐ補強材)があります。
接着剤を使用しない画期的な“ノックダウン”方式でした。

4本の脚をつないでいる補強材です。
1人がけはアーチ状の補強材でしたが、こちらにはサークル状の補強リングが採用されています。

補助笠木を差し換えるだけでさまざまなデザインバリエーションができました。

とても華やかなバックスタイルです。

アンティークとこの椅子の最大の違いは塗装です。
塗料が現代の“ニトロセルロースラッカー”を使用しています。
乾燥が速く、耐水性に優れているラッカー塗装を選択したのは、やはり時代の流れだと思います。

この製造工場では1900〜1920年ごろの製造法に近い形で生産しています。
近代化された独トーネット社で生産される現“No.14”(♯214)等に比べると、やはり時代を感じてしまいます・・。
でも、それを古いと感じるか、それが今の時代にはない良さ、と感じるかは貴方次第です。

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